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祐輔は、久我たちが立ち上がるのを見て図書館を後にした。
……
自転車で風を切る。そして、柔らかく吸い付くような日真理の唇のことを思い出す。
そもそも、幽霊ならキスなんかできるわけがないと祐輔は思った。
家に着くとすぐに流来に電話をする。
「図書館で久我を見た」
『ほんとか? でもどうして久我が図書館に?』
「たぶん日真理のことを調べてる」
『日真理のこと?』
「久我たちは、日真理が消えるところを見たって言ってた。きっと幽霊について調べていたに違いない」
『やっぱり幽霊だから俺には見えなかったのかな』
そう言うと流来は口をつぐむ。
「俺は違うと思う。幽霊なら俺に触れたりできないはずなんだ。でも日真理はぼくの胸ぐらを掴んだ」
間をおいて流来が言った。
『でもそれは、今夜明らかになる』
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