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   ◇◇◇  祐輔は流来と別れると、国道から裏道に入る。星が空いっぱいにちりばめられ、美しくまたたいていた。  薄暗い街灯を頼りに、下町の小さな工業団地を抜けてようとしたとき、路地裏から鉄パイプが転がるような金属音が聞こえた。祐輔は不安になる。  闇に紛れながら通り過ぎようとすると、路地の奥で男の声がした。 「その顔、気にくわねぇんだよ。整いすぎっていうか。夜間には似合わねぇ」 「放して。こんなところに連れ込んで何をするつもりなの」 「おめぇをふるいにかけるってことさ」 「何よって」 「此処の学校に入るにゃ条件がある」  祐輔は『夜間』と『条件』という言葉が、妙に耳にひっかかった。 (そういえば俺の高校に夜間定時制があったよな)  なぜだろう。怖いのに……気になってしかたがない。祐輔は工場の資材置き場の隙間から路地裏をのぞき込んだ。  そしてはっと息を飲む。  街灯に照らされて浮かび上がる少女の顔。真っ白な肌。頬にさした赤みがサンゴように美しく光って見えた。 .
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