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  「こんばんは。俺、流来。こっちが爽。よろしくな」  流来が日真理の方を向いてにっこり笑う。  爽は「よろしく」と言ってえくぼを作った。  花柄のセカンドポーチを胸の前で抱きしめる仕草が可愛い。  大きめの胸が強調されて見えた。 「日真理です。よろしく」 きつねの面の下から張りのある声がする。 「こちらこそ」と爽がお辞儀をする。 「あのさ。さっそくだけど何か食べない?」  流来は相変わらず食いしん坊だ。それなのに何故太らないのか、祐輔はいつも不思議に思う。 「日真理ちゃんスリムだな」  流来が祐輔の耳元でささやく。 「容姿にごまかされるなよ。ああ見えて乱暴なんだ」  今度は祐輔が流来の耳元でささやいた。 「爽さん、可愛いですね。スタイルもいいし」  日真理が爽に話しかけている。狐の面をかぶると、性格も口調も柔らかくなるのだろうか。 「日真理さんこそ、スリムでうらやましいです」  爽は、藍色の浴衣からこぼれ落ちそうな胸を右腕で抱えてにっこり笑う。 .
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