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顔を見せない日真理に爽がすぐにうち解けたのは、彼女のおおらかさのおかげだろう。
爽はメロンソーダではなく、流来の言うとおりイチゴパフェなのかも知れないと祐輔は思った。
日真理と爽は、流来が夜店の食べ物を物色している間ずっと話し続けた。
「ねえ流来。日真理さんって南野市に住んでたんだって」
爽の声はよく通る。南野市は祐輔の町から東にバスで一時間程先にある。
「先月こっちに越してきたばかりよ」
爽が言葉を続けた。
どうして日真理は、便利な市街からこんな田舎町に越してきたのだろうと祐輔は思う。
「なあ日真理。お前、俺にいっぱい隠してることがあるだろう」
「えへ。やっぱりそう思う?」
狐の面の下で舌を出している様子が思い浮かぶ。
「おい、たこ焼き食べようぜ」
夜店から漂ってくる香ばしい匂いに我慢できなくなったのだろうか。流来がみんなに声をかけた。
「いいよ」
四人はたこ焼きを買い、参道から外れたわき道のベンチに腰を下ろした。
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