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祐輔たちの前で、流来と爽が手をつなぐ。すると、日真理も祐輔の肩に体を寄せる。そして祐輔の手をぎゅっと握った。
どうしてだろう。切なくてたまらない。
やがて巻き藁が神社に境内に納められ、火がかけられる。巻き藁は、あっという間に大きな炎に包まれた。
煙とともに上っていくたくさんの願い事。あの中のいくつが叶えられるのだろうか。
しばらくすると巻き藁は燃え尽き、境内が暗くなった。
消え去る炎に合わせるように、日真理の握る手の力が弱くなったような気がした。
祐輔はびっくりして狐の面の下を覗き込んだ。
どうしてだろう。日真理の顔が、今は透き通って見える。
「祐輔、悪いけどさ。もう流来君たちとは一緒にいられなさそう」
日真理は頼りなげに肩を寄せたまま呟いた。
日真理の手を見て祐輔はびっくりする。まるで蛍のように淡い光だけを残して消え去ろうとしていた。
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