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少女を取り囲む三人の男。その中の一人が、少女の腕を捻り上げる。
「何するのよ。編入の手続きは済んでるわ。他に何か要るの?」
「証だよ」
背の高い三十代くらいの男が、少女を睨みつけて言った。
サングラスをかけた若い男が、鞄から何かを取り出し、背の高い男に手渡した。
「儀式だ」
「儀式? くだらない」
少女はそう言うと背の高い男を睨み返す。
「学校に通いたいんだろ」
少女は、男の問いかけには答えず、視線を外して夜空を見上げた。そして低いトーンで呟くように言った。
「だったら私の言うことも聞いてくれる?」
「面白ぇじゃねぇか。言ってみろ」
言いようのない緊張感がただよう。
「古沢祐輔を連れてきて」
祐輔は、突然自分の名前を告げられて驚いた。
背の高い男の口元が上がる。
「いいだろう。連れてきてやる」
その言葉を聞くと、少女は目を瞑る。
「さっさとやって。儀式ってやつを」
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