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   サングラスの男が、少女の右腕を持ち上げる。背の高い男が、細い二の腕に長い針を突き立てた。針が少女の二の腕を分厚く突き抜ける。  針の先から少女の血が(したた)った。祐輔は思わず叫びそうになった。必死で声を押さえ込む。  少女は目を(つむ)ったまま。涙一つ見せない。 「早く墨を入れろ」  背の高い男の声に促され、サングラスの男が針の通し目に何かを注ぎ込んだ。その後、針が抜き取られる。少女は女豹のような瞳を開けると、右腕を高く掲げ、北の空を指さした。 「あの星に誓って。祐輔を連れてくるって」  祐輔は少女が指さす方角を見上げる。そこには、真珠のような二等星が輝いていた。 『ポラリス』  人生の航路を切り開く道しるべ。 .
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