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◇◇◇
「祐輔、定時制の山猫がお前を捜してるみたいだぜ」
「誰だよそいつ」
「山猫も知らないのかよ。久我 猛。柄の悪い連中のトップだ」
山猫が学校に来るのは日が暮れるころ。その前に学校を出てしまえばいい。そう祐輔は思った。
「なあ祐輔。悪いことは言わないからしばらく学校休め。捕まったら何されるかわからないぞ」
「そんなに酷いやつなの?」
流来は口を祐輔の耳元に寄せる。
「噂じゃ、定時制にやってきた新米女教師をやっちまったらしい」
「そいつは酷いな」
祐輔は、昨日の夜の光景を思い出した。あの背の高い男が、久我だったのだろうか。
やがて終業のチャイムが鳴り、みんなはそれぞれ帰り支度をする。祐輔も片付けを済ませると、垂れ込めた雲の下に出た。
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