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◇◇◇
足がもつれ、祐輔は山道に倒れ込む。日真理が祐輔に追いつき、仰向けに倒れている祐輔の上に覆いかぶさった。
「頭きた」
日真理はそう言うと、祐輔の首を両手で絞める。
「苦しい。おま……本気で」
日真理の指がすぐに緩み、祐輔の顔の横に両手をついた。
「祐輔は、私の彼氏だからね」
「もちろん! 日真理は俺の彼女だ。っていうか、日真理は俺のこと好きなのか?」
「バーカ」
日真理はそう言うと祐輔の唇に自分の唇をぎゅっと押し付けた。ところが祐輔は、突然唇を逸らすと道の先を指さした。
「おいゴーヤ。あれ」
日真理は顔を上げて祐輔の指差す方を見る。その先には赤い鳥居がびっしりと並んでいた。
「狐鳴神社……」
日真理はそう呟くと、祐輔の手をとって立ち上がる。祐輔も日真理に引かれて立ち上がった。
「行ってみようよ」
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