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鳥居の間から真っ白な狐が顔を出して祐輔を見つめている。ここの神様だろうかと祐輔は思った。
「日真理を連れていくな」
そう祐輔は呟いた。ところが、太陽の光が視界を遮った瞬間、狐は姿を消してしまった。祐輔は急に不安になる。このまま日真理がいなくなってしまったらどうしよう。
祐輔は鳥居の迷路を、必死で前に進んだ。少し大きめの鳥居を抜けると、目の前に階段が現れる。やっと本殿に着いたのだろうか。祐輔は息を切らして、階段を三十段ほど駆け上がった。
そして、階段の途中に小さな踊り場まで上る。左右は鬱蒼とした木々に覆われている。さすがにここまで来ると、鳥居の迷路も一本道だ。祐輔は、踊り場の先に続く階段を見上げた。
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