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   ◇◇◇  狐鳴神社を下りると、二人は宿に向かった。  …………  狐畔荘は温泉街の外れに建っている。三階建ての質素なつくりだが、近くを清水が流れ趣きがある。庭も美しく整えられていた。  二人は、宿の粗末なフロントでチェックインを済ませると部屋に案内された。 「お二人とも、お若いですね」  案内に付き添った仲居さんは二十歳そこそこのお姉さんだった。 「兄妹なんです」  日真理は仲居のお姉さんにさらりと告げると、部屋の中を覗く。部屋は十畳ほどだろうか。二人が寝るには広すぎるくらいだ。  「夕食は七時から八時。二階の『翠の間』においでください。露天風呂は一階の西。階段を下りたところにございます。こちらは一晩中ご利用できますので、お好きなときにお入りください」  仲居さんの説明は、とてもシンプルだった。  小さな民宿のような旅館だが、さすがに温泉町。露天風呂があるらしい。 「これ見て。着てみたいな」  仲居さんが部屋を出ると、日真理が嬉しそうに浴衣を持ってきた。 .
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