005

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  「絶対にこっち見るなよ」 「わかった、見ないよ」  祐輔は仕方なく岩と岩の隙間に身を埋める。 「まだ見てる」 「見てないよ」 「嘘でしょ。視線感じるし」 「本当に見てないって」 「見てないって約束できる?」 「約束するよ」  祐輔は長く息を吐いて目を瞑る。それきり、日真理の声が聞こえなくなった。聞こえるのは、源泉が流れ落ちる音と小川のせせらぎだけ。祐輔は目を瞑ったまま日真理の気配を探す。七夕の夜のように消えてしまったらと不安になったから。  しばらく待っても日真理の声は聞こえてこない。 「日真理。いる?」  返事は返ってこない。  不安が増したからだろうか。源泉と小川の音がうるさく聞こえた。 「日真理。もう先に出たの?」 .
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