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◇◇◇
祐輔は次の日授業が終わると、すぐにホームセンターに向かった。
夕方だというのに、太陽はアスファルトを溶かすほどに照りつけている。
久我が言った通り、センターの裏手に建設中のマンションがあった。祐輔は工事現場に近づいて建物を見上げる。そこに、作業着姿の久我がいた。
玉のような汗を流し、体中をほこりまみれにして働いている。
こいつが、夜の裏道で日真理に印をつけた久我なのだろうか。もしそうだとしたら、なぜあんなに酷いことをしたのだろう。
祐輔は不思議に思った。
やがて時刻が五時を過ぎ、マンションの建設作業員たちがトラックに乗って帰っていく。
久我は、現場のリーダーらしき人にひと言断りを入れると、祐輔に歩み寄った。
「待たせたな」
久我は、汚れたタオルで額と首筋を拭いてから、祐輔に歩み寄る。
「そんなに待ってません」
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