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膨大な人が抱えている時間の重さと同じだけの質量をもつ声の奔流のなかで、自分一人がどれだけ叫ぼうとも、誰が気づくでもないだろう。誰かが気づいたとしても、すぐに飲まれて忘れ去られてしまうこともあるだろう。
ここに自分が在ることも、目の前に在るもののすべても、銀河からの光のように、一瞬の星々の声のように、限りなく重く、意味深く、同時に、限りなく軽く、意味の無いものなのだろう。
意味が無いということはいけないことなのか?
夜空の高さに同調するように、飛翔していく思考が応えた。
違う、解放だ。
意味と、意味づけという枷から解き放たれるということなのだ。
地球の引力から解き放たれ、遠くへと天翔ていく人工衛星のように。
忘却が、救いと希望の一つであるように。
今は聞こえる銀河の声も、明日になれば今まで通りに聞こえなくなっているかもしれない。
明後日にもなれば、聞いたことの感動すらも薄らぎ始めているかもしれない。
だが、きっと、そうあっていいものなのだろう。
今夜の発見は、世界の何を動かすわけでもないのだ。
この見知らぬ丘に別れを告げて。
帰ろう、今夜の後につづく日々へと。
<了>
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