銀河の聲

7/11
前へ
/11ページ
次へ
 四階建ての古いビルだった。  道にそってアーケードがあることからすると、商店街なのかもしれない。上の階が居住用になっているのだろう。  だが、月明かりと街灯の明かりしかないというのに、コンクリの壁面には明らかに染みが浮き出すように見えていたり、雨水が垂れて汚れた窓下や、アーケードの垂れ幕のところどころ破れているのが見える。  窓に灯っている明かりも数えるほどしかなかった。  やがて、カーテンもかかっていない黒い穴のような窓のうちの一つに、黄ばんだ灯りが灯った。  橙色の電灯のカサと、破れた窓を接いだガムテープの影が見えた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加