2人が本棚に入れています
本棚に追加
「みなさーん、朝ですよー、起きてくださいー」
聞きなれた女性の声
それはわたし達を起こしにきた声
わたしを夢から覚ましてくれる声
「ほら、早く起きてください、今日の当番はあなたでしょ?」
ガバ、とわたしはベッドから身を起こす
朝食と洗濯と掃除は当番制だ
今日の朝食当番はわたしだったらしい
「ごめんなさいシスター、寝すごした?」
「まだ平気よ、さぁちゃっちゃとやっちゃいましょう」
「うん!」
この女性はシスターと呼ばれている
ここは町はずれの孤児院で
シスターは一人で教会をきりもりしている
身寄りのないわたし達からすれば母親のようなものだ
...本当の母親は知らない
ここの子供はみんなそうだった
幼い時から親を亡くし
一人で生きていたところを保護された人
捨て子だったのを拾われた人
生まれた瞬間ここに預けられた人
だから親なんてものに愛着はおろか、理解すらしてない人がほとんどだ
「朝食は何がいいですか?」
「うーんとねぇ、サンドイッチ」
「あなた卵しか作らないから、ちゃんと他のも作りなさいね?」
「はーい」
ちなみにわたしは卵料理が好きだ
だって、美味しいし
作るの簡単だし...
最初のコメントを投稿しよう!