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「鷹野さん、何飲みますか?」
…え?
「あ、マスターから紅茶預かって来た。これ、淹れて?」
「ほんと?明日でいいですって言ったんだけど…もう合わせてくれたんだ」
小さな紙袋を持った彼は、私からあっさり視線を外すと、“雅”の傍へと近寄った。
「あと、これ」
帰るとき、いつもの花屋でフランネルフラワーの小さいのが今年も出てたから、寄ってみたんだ。
そしたら、雅ちゃんみたいな花、あったから。
…………なに、この人。
タカノ?
タカノって呼ばれた?
タカノってあの、カサカサの金髪の?
あの、死んだ魚みたいな目をした?
「あ…可愛い」
「ピンクと白がこんな風に混じってるの、珍しいんだって?」
小さな、ブーケ。
いちごミルクのような、柔らかいグラデーションの花びらが、私の目からも可愛らしく、映った。
ん、だけど……。
タカノの余りの変わりようと、歯の浮くような甘いセリフに、私の眉間に、不快な虫唾が、走った。
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