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「ちょっ…と…!ほんとに“タカノ”なの!?」
思わず上げた声に、“雅”も“タカノ”も、私を、見た。
その顔は、明らかに驚いた色を浮かべていて。
まさか…
この短時間で、私が居ることを忘れてた訳じゃ…ないでしょうね……?
忘れて、イチャイチャしてたんじゃ…ないでしょうね?
「びっくりしたあ。いきなり何」
愛らしいブーケを束ねる、薄い薄い緑色のリボンを解いて、花をひとつ、“雅”の髪に差していた手をそのままに“タカノ”は淡々とそう言うと、ああ!と。
花を一本、私に差し出した。
「どうぞ?」
「………なに…」
「貴女にも、似合いますよ?」
近づいたタカノが、わざとらしく、いやらしく。
毒々しいまでの笑みを、私に向けた。
いやあああああッ!
なにコイツ!
あんた…あんた……ほんとにあの時の…汚い金髪の“タカノ”なの!?
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