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「なーんて。宇田川さんの真似してみた」
「…ちょっと似てましたね」
宇田川!?
宇田川さんて、お兄ちゃんのそばにいつもいた、あの笑わないオジサン?
あのひと、こんな事するの!?
くるり、と再び“雅”に向き直った“タカノ”に呆然とするも、私は“雅”の常に柔らかい笑みを浮かべる目に、捉えられた。
にこ、と笑んだ“雅”の髪に、いちごミルク色の花が、いくつも差し込まれる。
“タカノ”は始終、上機嫌で、“雅”を飾る。
さながら、人形遊びをするように。
「もうすぐ、凱司さん帰って来ますから」
「………」
なだめるように眉を下げた“雅”に、正直、腹が立ったけれど、いい加減、私の罪悪感もギリギリで。
「あれ?そういえば凱司どこ行ったの?」
「由紀さんとこ」
そんなギリギリの私に、“雅”は。
お兄ちゃんは女の所へ行った、と。
そう、言ったの?
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