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「私、お兄ちゃんの部屋に泊まりたい」
“雅”の部屋に独りではなく、お兄ちゃんと居たい。
「…添い寝が必要な歳じゃないだろ?」
「お願い」
私は、煙草を吸うお兄ちゃんのお腹辺りに、抱き付いた。
困らせる、だろうか。
“妹”に、恋されて。
私は、お兄ちゃんを兄として見ていない。
確かに半分とちょっとは血が同じ、兄だけれども。
その事実を、事実として受け入れるには、私は幼すぎたし、ことは複雑だったから。
「私、初めてはお兄ちゃんがいい」
覚えて数年経つ、布団の中での一人遊びの相手は、いつでもお兄ちゃんな事に、罪悪感も湧かないほどに。
「…………少し落ち着け」
「ほんとよ!?」
「わかったから」
お兄ちゃんは、子供をあやすように曖昧な表情をしたけれど、大きく煙を吐き出すと、ひどく真面目な目で、私を見下ろした。
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