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「…ぅ…」
頭が揺れるような感覚が残ってるが、無理矢理に体を起こす。
「…あ、まだ横になっていたほうがいいぞ」
「あ、はい…」
看病?してくれていたのだろうか、本を読んでいた女性が気づき、やんわりと俺が体を起こすのを止めてきた。別に反発する気はないので、再び横になる。
「ようやく目が覚めたんだな。全く、あの方も少しは考えてもらいたいよ…」
「ようやく…って、俺はどれだけ寝ていたんですか?」
俺はその女性…予想が正しければ九尾の狐で、俺をここに連れてきた犯人の式神、八雲藍(やくもらん)に聞いてみた。
「そうだな…ざっと二日だな」
「…二日も?」
何処に落したんだあの人は…。
「そういえば自己紹介がまだだったな」
「あ、知ってるんでいいっす」
「おや、そうか…(紫様の言っていた通りだな…)」
おそらくあの人から聞いてるんだろうな…。
「あら、漸く目が覚めたのね」
襖が開く音がし、俺と藍はそっちを向く。
あ、ちなみに今いる部屋は和室ね。
「あ、紫様」
金髪のロングヘアーに、紫を基調としたドレスのようなものを来た女性…彼女が俺をここに連れてきた犯人、八雲紫(やくもゆかり)。夢っぽいところで会った時と同じ服装だった。
「お早う、舜君。よく眠れたかしら?」
「よく、どころか逆に寝すぎて体がおかしいんですが」
普段は俺、早起きだからな。4時には起きてるし。
「まあ、それはあとで動けばなんとかなるでしょ。それより、一応自己紹介しておくわね。私は八雲紫。この幻想郷の賢者と呼ばれているわ。こっちは私の式紙の八雲藍よ」
口を挟む間もなく、紫さんは自己紹介した。知ってるのにわざわざご苦労様です。
「だから一応って言ったでしょ?」
読心術…だと…!?さとり以外にいないと思っていたのに…
「…で、俺を何処に落したんですか?」
恐る恐る聞いてみた。
「ここの近くの森」
アバウトだろ…てか森に落として気絶って…
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