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「俺らは自分等の思い通りの世の中にしたいだけよ…それはお前等も同じだろ?
殺したいなら殺せ…俺一人いなくなろうが関係ねえからな…」
男は笑っていた。
死にそうなのに…どうして笑ってるの?
そう思っているはずなのに、
こいつは死ぬ覚悟が出来てる…良い奴じゃねえか…。
そう思って顔に出さずに私は笑った。
「………」
何も言わずに私はその男に刀を降ろした。
肉を切る感触。
骨を切る感触。
切るときのザシュッという不気味な音。
そして、その後の血の臭い。
これらは全て初めてのことなのに、初めてな気がしない。
どうしてなの?
私は刃に付いた血を刀を振って落とした。
その刃を見ると私の眼が映った。
でも…この眼は誰の眼?
私の眼じゃない。
私はこんな眼じゃない。
こんな怒りと悲しみに満ちた眼をしてない。
誰?
これは…………誰?
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