序章

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鞄と竹刀が入っているケースを持って1階に降りた。 そこにはパンの焼けた良い匂いがあった。 「おはよう、明輝。 パン焼けてるからちゃんと食ってけよ」 リビングに着くと兄の西村雄(ニシムラユウ)がいた。 カッターシャツ姿で暑そうな格好をしているのに明輝はかるく呆れていた。 「…おはよう、兄貴…。 そんな格好よく出来るな? こっちは熱くて死にそうだっつうのに…」 明輝の格好は、タンクトップに短パンというとてもラフな格好だった。 髪は胸元当たりまである髪を高い位置で一つに結んでいた。そして結んでいるところには赤いシュシュをつけていた。 「俺は社会人なんだよ…お前とは違うっつうの! お前、今日の試合頑張れよ…。俺行けねぇけど絶対勝つんだぞ?」 「兄貴は私が負けると思ってんの!?私が負ける訳ねぇだろ? こんなちっこい大会で負けたら一生の恥だっつうの。 ……それに今日は勝たないといけないんだ…絶対に……」 そう言って明輝は、パンにかじりついた。 「だな。お前が負けるとこ見てみてぇな…」
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