悪夢の人

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「お前が西村明輝か? 斉藤一だ」 無愛想な奴。 そんな事を思いながら立ち上がり手を出す。 「はじめまして」 「何だその手は」 顔の表情を変えないまま言った。 「何って握手だよ。この時代じゃ挨拶はまだお辞儀って時代なんだったな。外国での挨拶だと思って」 と言いながら手はそのまま出したままだが、一向に握手しそうにないため手を収めた。 こんな奴もいるんだ…。 おもしれぇ。 「何に対して笑っているんだ」 私笑ってたんだ…。 「いや、ただ……ここにいる奴等は色んなのがいておもしれぇって思っただけ」 「……確かに色んな奴等がいるからな。俺も楽しいと思う」 明輝は斉藤の方を向き、驚いたような顔で眉間に皺を寄せて、斉藤の顔をまじまじと見た。 「…何だ…?」 「楽しそうな顔すんのかなって…」 斎藤がふっと鼻で笑った。 「聞いたとおり面白い奴だ。俺だって人間だ。誰だって楽しいと思うし、笑う」 今度は明輝が笑う。 「そうだな」
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