悪夢の人

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そんな話をしていると遠くからこっちに来る足音が聞こえた。それを聞き斉藤は明輝を背に隠すような体勢をとった。 「何して」 「斉藤か。近く見なかったが何してた」 「巡回している間に芹沢さん達が帰ってはまた島原に行っていただけです」 芹沢さん。確かに今斉藤はそう言った。明輝が会ってみたいと言っていた人間。だが、何か違和感を感じた。急にその人物を見ることに恐れを感じ始めた。 「そうか、ところで後ろにいる其奴は誰だ?」 「今行く場所が無く此処で匿っている者です」 「ほぉ、この筆頭局長に黙ってか」 「その事は今から局長から話が…」 斉藤が芹沢に説明している後ろで明輝はゆっくりと顔を芹沢に向けた。見ても斉藤の背中があった。またゆっくりと体を前屈みにし芹沢を見ようとした。 この時、明輝は手で汗を握っていた。 「女か?」 明輝は目を丸くする。
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