五刻「灰雛と小さなオルゴール」

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「どうして……?」 「ううん、迎えに来てくれたのかと思って……」 「……だったらどうするの?」 幼い子は目を伏せて困り顔を浮かべる。 「あの、私を連れて行って欲しいの……」 「へぇ?」 「でっ、でもね、もう少し待ってほしくって。お兄ちゃんの誕生日なのっ! 明後日退院できるらしくて……その日が誕生日で」 「なぜ? 私が死に神なら待ってなんてくれないわよ?」 「うん……。死ぬのはいい。ただね……お兄ちゃんを……ずっと心配だけさせてきたお兄ちゃんにお礼を言いたくて……」
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