五刻「灰雛と小さなオルゴール」

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やられた。私はどこかで正直この子をナメていたのかもしれない。 それは真実であり本質。でも。 「残念ね、私は不完全な死に神なのよ。だから、その願いは叶わない」 「そう……なんだ……」 彼女のもの悲しげなはかない表情はどこか、あのまりーと言った少女の表情に似ている。 「私と同じだねっ!」 そう言ってまたその女の子は笑ったのだった。 「なんでそうなるのよ」 私はそれに若干呆れた声で応える。 「だって……私も不完全な人間にすらなれない人間だもの。人っていう体としてすら不完全なんだもん! ……うん、だから私を連れてくのはお姉ちゃんがいいっ」
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