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侮辱……否、屈辱だ。夢か幻想の類なら、また私はなにも出来なかった。自分を生かすも殺すもできずに、他者に為されるがまま掻き乱された……。
私の虫の居所は最悪だった。
嗚呼、まずこの場所を去ろう。どこに矛先を向けて良いかわからぬままこの場で沸き立つ怒りに身を委ねはられないだろう。
ふらふらと、繁華街を大きな交差点へと向かう。
そうして振り返った刹那、何かを踏んだ。
人間の足くさそうなものらしい。
「すみません……」
これでもきちんと礼儀はわきまえているつもり。
……むしろ徹底的に教わった記憶すらある。
「なぁにすんだよっ!!」
「……」
はぁ……居るんだよね……こういう蛆蟲。居るだけならまだしも、どこでもかしこでもすぐ沸く、ただいきりたいだけの……飽きもせずワンパターンにご苦労様。
「はぁ蛆蟲ね……」
つい、声に出してしまった。
と、思う?
ううん。私は半ばわざと声にした。
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