五刻「灰雛と小さなオルゴール」

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「今日の夜、私の病室に来ない?」 「……なぜ?」 「私の病気って特別らしいから、お部屋も特別でずっと一人部屋なの。いつも急に苦しくなることとかもないから、看護婦さんもほとんど来ないし……ね?」 初めは確かにあまり興味などなかった。いや、興味が沸くとも思えなかった。 しかし、いま私は間違いなくこの小さな笑顔の持ち主に惹かれている。……所詮それは、私も弱い人間だということだろうか。 私にはいまこの子のぬくもりがとても温かく感じるのだから……。
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