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「聞いてんのかよーっっ!!あぁんっ!!?」
嗚呼、聞こえてるよ、無意味に騒々しい鳴き声ね……。
―――消えろ!!
「うるさい……」
「ああんっっ!?」
「……うるせ……!?」
―――パァンッ………―――
一音一旋、言葉は断ち切られた。
刹那高く響いたその一音に。
一帯が……。
凍て付き。静止した。
―――びちゃっ―――
刹那、私のメガネの片方が曇った。
赤黒く。
気持ち悪いほどにねっとりとした生温かさ。
―――人が―――
―――爆ぜた―――
必然、静止した世界は一瞬で狂気に変わった。
すべての表情という表情は引き攣り困惑と恐怖の色に塗り替わる。
私は無表情でその場を、立ち去った。
その冷たい眼差しは、メガネの赤黒いかすみに、視界を奪われたままだった。
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