一刻「灰雛は産声をあげる」

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『やめろっ……お願いだからっ……! ……シネバイインダヨアンナヤツ』 ……間違いない。奴だ、爆ぜたあいつの……。 『殺された未来……』 「………………」 『オマエがヤッタ』 「……そう私だ」 『オマエのせいだ』 「…………私だ」 「………………」 気が付けば、私の頭は湯船の底に沈んでいた。 水面は既に赤黒に染まりきっている……底には同じ色の濃い煙が靄(もや)を立てている、目が、身体がその鈍色に染まったのが……分かった。ゆっくりと再び水面上に浮かび上がる。 「……………………あはっ♪」 「あははっっあははははははっはあははははっAHHHAHaHhahaHhっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 途中笑い慣れずに、声が引き攣り裏返ったときがあったが、私は気にも留めずお風呂で笑い転げた。 近所迷惑だっただろうか? どうでもいいか、他人事にしかどうせ思われない。 小さな白い壁に囲まれた小宇宙に(心に)、酷く甲高い悪魔のそれのような狂いに狂い引き裂いた金切り笑いが壁を傷付けながら反響し干渉し強め合っては響き渡った。紅い紅い紅い空に向かって響いてゆく。 白だったはずの壁……それはもぅ夜を迎えようとする闇を交え、赤黒く塗り替えられていた……。
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