二刻「灰雛に関して知り得るいくつかのこと」

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「両親は生まれも育ちも一般家庭より恵まれていて環境も良。幼少からとても優秀。彼等は大学で出逢ったときから、お互いが相手の優秀さを理解。意識し尊敬し敬愛し、惹かれ合ったらしい。 有名大学を出た彼らはもちろんなんの苦労もなく就職を決め、誰の何の危惧もなく結婚、長女を儲ける。就職してから仕事面でも2人とも出世を続けたが、長女が出来てからは子育てに没頭、「自分たちのように優秀な人間の子孫は優秀でなければならない」との考え方の基、完璧なカリキュラムに当て嵌められた長女はいままでの家系図の中で最優秀に健やかに育ち、その後2人目を出産した。それが灰菜である。 長女が5歳になってから再び本格的に職場復帰していた母親は灰奈を身篭ったことからまた一応両親ともに完璧なカリキュラムに基づいた育児を行って優秀に我が子を育成しようとする。だが……」 『だが……私達姉妹は決定的に違っていた。私はあくまで一応の子でしかなかった。原因、その一つは私が産まれた日に遡る。姉さんはお手本通りすんなり生まれ、私は難産だった。優良種の母は自分の身体が傷つくことを嫌ったけれど、より姉さんに良い心の教育環境を与えるべく、仕方なく身を削った。育児中の面倒も姉さんと比べて多々あったらしいけれど、両親は姉さんが愛でたがった(欲しがった)妹を製作することに心血を注いだ。妹という姉さんの付属品ではあっても、この2人から産まれた子が優秀に育たないわけがない、そう思っていたらしい。
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