二刻「灰雛に関して知り得るいくつかのこと」

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「それが彼女の致命傷となる……」 そう……、私の人間を評価するための指標である『試験』の結果は下等種と同じ……否、それ以下だった。 私の中の“絶対的差別意識“は完成しているのに、私が持つ“才能”は伴わなかったのだ。そこに生まれたのは『矛盾』。 私の中の『矛盾』は混乱を生んで自らの精神を蝕み、周りが感じた『矛盾』は私に対する大人のサル真似のような当てつけや差別に変わった。必然の流れだった。私は、知能発達の遅い下等生物だったのだから……。 学校という狭い社会の中で、必然私の差別は先生・生徒・保護者までに及んでいた。私の劣性が決定的になるにつれ……それは全てが敵となっていく結果となる。社会的立場の逆転……優劣の逆転だった……。 もちろん両親は絶句した。なぜ自分達からこういったゴミが産まれたのか、理解できない様子だった。癇癪を起こしケンカをすることも一時期は増えた。が、しかし彼らはすぐに納得をする、これは神が有能たる自分達に与えた試練だ、と。だからこそ、より優秀に育つよう彼らは一層私の教育に厳しく力を注ごうとしていた。 そんな中、姉さんだけは違っていた、そのままの私を認めてくれて、そのままの私に誰よりも優しかった。姉さんとの時間は私の唯一の心の拠り所だった……。 私に優しい、私の大好きな姉さん。
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