二刻「灰雛に関して知り得るいくつかのこと」

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姉さんは常に劣悪下等種を蔑む目で、私を見つめていた。おもちゃのように妹を欲しがり、いつからか妹を単純生物を愛でる対象として欲した。これが二つ目。私とは本来このためだけに生を受けた存在でしかなかったんだ……。 私はそのために存在意義が生まれ、そのために育てられた。 優秀な学校には優秀な人材しか来ない、そのため姉さんの根深く貪欲な差別欲は満たされることがない……。その捌け口が……ただの捌け口が……私になっていた! そう、私の存在も彼等親というものが計画した姉を優秀に育てるためのカリキュラムの内! 姉さんの瞳が全てを語っていた……!! 自分達から(姉さんには劣るとしても)劣悪種が産まれるはずがないと思っていた両親が……私をゴミとして処理したいのに我が子故に責任が自分達に生じ、そうできない複雑な視線で見られていたことは、幼い私にとってとても辛いことだった。だから毎日頑張ったりしていたけれど……姉さんのそれは、私の生きている意味合いすらを否定した…… 所詮、両親も姉さんも人間だった。それらはやがて、私に植え付けられた絶対的差別主義によって、『優越に囚われた哀れな蟲』にしか見えなくなっていった。その時、みな人間というものが等しく劣性遺伝交配の繰り返された劣悪種なのだと私は理解した。
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