二刻「灰雛に関して知り得るいくつかのこと」

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まりーの報告書はいつも最善な情報を俺に届けてくれる。 表向きだけでない、人の心の中にある光と影。感情の生い立ちから、性格を決定付けていく分析まで……本当に無駄がない。 この小さな身体のどこに、そんな根気があるのかと思うほどに。 書類を作る彼女は当然この書類上よりも多くの情報を知り得る……そこで受け取ったものを、知った事実を、この小さな身体のどこで……受け止めているのだろう……。 そしてなにより、まりーの情報の最後はいつも……優しい。 「へぇ……灰奈は人間にこそ差別的考えを持つ一方で、他の種(人間に従うだけの犬は除く)に対してはとても心が優しく、植物や虫にすら慈しみを持っている……か。 ……つまりこれは……。ん? まりー……?」 まりーはいつの間にか、背中合わせでぐっすりと眠っていたらしい。 気付けば背中から柔らかいぬくもりが伝わってくる。 厳かな慈しみに満ちた……。
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