二刻「灰雛に関して知り得るいくつかのこと」

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「それにしても……あっちぃ……」 思わず空を見上げる。 太陽が沈んでからも、まだまだ地上は暑かった。 ここがビルの屋上なこともあって、より日中の灼熱が蓄積されていることも原因なのだろう……。 俺は汗をかくが、まりーは一切かくことがない。 「……」 それが羨ましくも、哀しくもあった。 ふっと少し手の力を抜いた書類は、強い風が吹き抜けるビルの屋上から空に高く舞い上がる。 たった数ページの灰奈の人生という名の経歴は軽々と空に持ち上げられて…… 遠くきらめいて消えゆく。 「さて……」 真っ直ぐ目を据える。 神の雛は何色に染まるだろう。 茜から青黒く染まりつつある空を見上げ、そんなことを考えながら目を瞑る。 そこにはただ……ほの暗い瞼の裏がどこまでも奥深く続いていた。
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