序刻「灰雛が産まれた日」

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あそこでも笑い声。 こちらでも笑い声。 向こうでも笑い声。 どこもかしこも笑い声。 笑顔、えがお、エガオ、EGAO………。 で、本当にそれは笑っているの? 誰かさんに合わせてるだけ。とりあえず笑っただけ。でしょ? それ、本当に楽しいの? 楽しくなくても笑う。笑い声は響く。作り物の笑い声ばかりが今日も雑踏の中に響いてる。 どこに行っても。変らない。 誰に会ってもそう、同じ。 生まれたての赤ちゃんすら、親の安心を生むために笑ってるのよ? まだ弱い自分を保護させるために、心からじゃない創造物の安心を与えてね。そして母性はそれにプログラムをスタートされるってわけ。 そして……ずっとそれを人は続けるのよ。 気に入られ、愛する自分を大切に守ってもらうために他者に微笑み続けるの。 あの川で戯れる番たちも同じ茶番。
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