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その夜を境に彼女は消息を絶った。
というより、こちらが足取りを掴めなくなった、というのが正解だろう。
「まりー、彼女の居場所は!?」
まりーは首を横にフルフルと振ってみせる。
「そりゃ……そうか……くそっ!」
「……」
まりーの心配そうな瞳が焦る自分を見つめている……。
もう彼女こと、灰奈は人間ではない。
相手が人間ならばまりーが居場所くらい突き止めるくらいはどうということもない。
だが、灰奈は人間ではなくなった。
ならば、その居場所はまりーでもわからない。
「どこだ……どこに居る……?」
産まれたばかりの雛は一度堕ちればはい上がれはしない。だから……いましかない。
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