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「ふたりめ……」
まりーが静かに呟いた。
「まりー……これを、あの子が?」
「うん……」
まりーが突然、あまりに哀しい顔をしたから「どうした?」と問えば「人が死んじゃった……」とまりーは細い声で答えた。
少し高いビルの屋上から、警察と鑑識が群れた現場を見下ろしてまりーに尋ねる。
「その子、最期はなんて……?」
「………『へっ!? そんなっ!! ぃやっ!! 嫌あぁっぁァアーァッぁっぁぁァッッッー!!!!!!』……って」
まりーは静かに泣いている……。その最期に聞こえた心の叫びに泣いている……。
その子に、例えどんな理不尽で、自分勝手な理由があろうとも……
悲しいという、
苦しいという、
その人自身の抱いた感情を、そのままフィルターもなしにぶつけられては、泣いてしまうのだって無理はない……。
俺は何度もこんなまりーを見てきた。
何度もこうして隣で泣き崩れる小さな肩を支えた。
それでも……まりーの悲しみがなくなることは、無い。
恐らくは……永遠に。
「なにをする気なんだ……」
そう真夏の入道雲に尋ねても、優雅に彼らは嵐を呼ぶに過ぎないと悟るには十分な雷鳴を轟かせるしかしなかった。
真夏の……夕立。
早く見付けなければ……。
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