三刻「灰雛は血染めの羽衣を纏う」

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「私は……先輩に全て教わりました。つきっきりで先輩が指導してくれたからこそ、二人とも最終専攻まで残って、私はたまたま優勝できたんです」 どこまで謙虚で健気なんだか……うちの後輩は……くそう……。 「だから、先輩、ありがとうございました!!」 「おう!! これからちょっと忙しくなるだろうが、頑張れよ?」 「はいっ!!」 「あ、それじゃ私、ちょっと屋上で今度描く海の絵のデッサンしてきちゃいます! 先輩もあとで来て下さいね~?」 そう笑顔で後輩、如月冷花は走り去っていった。 「……仕方ないんだよな……仕方ないんだっ! 仕方ない……仕方ないんだ、どうしようもない、なにも変わらない、仕方ない仕方ない仕方ない仕方ない仕方ないんだ!!!!!」 往生際が悪い……自分でもそう思う。醜さの結晶だ。 この世界はキャラクターじゃない……。この世界の主人公が俺なわけないんだ……俺なわけっ……!! なにより変わり得ない結果はすべてを物語っているのだから。
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