三刻「灰雛は血染めの羽衣を纏う」

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――ブゥゥ……ブゥゥゥ……―― ポケットの中で携帯が些か煩わしく震える……。 「もしもし!」 『ど、どうしたんだよ、お前……?』 走って息が切れている。怒りに口調が壊れかけている。が、別にどうでもいい。 「どうしたはこっちのセリフだ、何の用だよ!!」 『いやっ、なにっていうか……言いにくいんだがな、如月さんって鳳出版の主催の……』 嗚呼……そうなのか。 嗚呼、それだけ聞けば十分だ……。 走っていた俺の足はピタリと静止した。 その後の親友の、『だから仕方なかったんだよ、落ち込むなよ?』という励ましの声など、耳に入っても居なかった。 そのネットニュースにはこうあったらしい、「主要審査員の娘、如月冷花さんが受賞!! 鬼才の娘はやはり才能に恵まれていた! 親娘クリエーターいよいよ誕生か?!」と。 「滑稽だな、俺は道化かよ……」
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