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ふと思う、このまま後ろから勢いよく突き飛ばせば……。
ダメだ! なんの根拠もないじゃないか……!
それにそんなことをしてなんになる!? もう結果は何も変わりはしないんだぞっ!?
――ゴツッ――
「わっ!!」
頭を小突いて気付かせる。いつもそうしていた。
「せ、せんぱぁい……私それほんとに毎回寿命縮まるんですよぉ……?」
「ああ、知ってる……」
無邪気なこいつが……本当に……?
「でも、先輩、来てくれたんですね? よかった」
如月冷花はかわいいほうの分類になるだろう。こんなはにかむ笑顔を向けられて、嫌な男は恐らくは居ない。俺も何度も、その笑顔に救われてきたことがある。
無邪気で、元気な、しおらしい如月冷花という美少女に。
「俺の絵が……さ。変わってたらしい」
唐突な一言。俺は海を眺めながら如月後輩を信じてすべてを話そうと思った。
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