三刻「灰雛は血染めの羽衣を纏う」

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ふと思う、このまま後ろから勢いよく突き飛ばせば……。 ダメだ! なんの根拠もないじゃないか……! それにそんなことをしてなんになる!? もう結果は何も変わりはしないんだぞっ!? ――ゴツッ―― 「わっ!!」 頭を小突いて気付かせる。いつもそうしていた。 「せ、せんぱぁい……私それほんとに毎回寿命縮まるんですよぉ……?」 「ああ、知ってる……」 無邪気なこいつが……本当に……? 「でも、先輩、来てくれたんですね? よかった」 如月冷花はかわいいほうの分類になるだろう。こんなはにかむ笑顔を向けられて、嫌な男は恐らくは居ない。俺も何度も、その笑顔に救われてきたことがある。 無邪気で、元気な、しおらしい如月冷花という美少女に。 「俺の絵が……さ。変わってたらしい」 唐突な一言。俺は海を眺めながら如月後輩を信じてすべてを話そうと思った。
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