三刻「灰雛は血染めの羽衣を纏う」

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「先輩言ってたじゃないですか……自分が一度出した作品は、怖くて最終結果がでるまでは見れたもんじゃないって。優勝じゃなかったら、名残惜しさを感じないためにもすぐ処分するんだって、言ってたじゃないですか!?」 なにを……? この子は……。 「私ずっと先輩と一緒だったんですよ? 見てきて、聞いてきたんですよ、1番才能がありそうで私の夢の役に立ちそうで……だからずっと一緒に頑張ってきたじゃないですか! 私のために頑張ってくれてたじゃないですか!!」 何を言ってるんだ、この子は……!? 「せっかく駄作を見ないで済むと思ったのに……なんで自分から……先輩、ひどいです……」 俺は泣き顔の後輩如月に飛びついた! 嗚呼、もうダメだ、俺はもう我を忘れている。 否、忘れたいっ! 忘れさせろっ!! なんなんだこいつっ!!!
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