序刻「灰雛が産まれた日」

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知っていたでしょう? 分かっていたでしょう? 分からないフリをしてただけでしょう? だってそのほうが傷つかないから。違う? 私の頭が可笑しい? 本当にそう思える? 「なんなら、私が神にでもなってやろう。幾分こいつらよりはマシだろう……?」 嘲笑気味に捻くる。 空を見上げ睨み付ける。 生まれたときから存在とその意義は無く、価値も無く、社会から孤立して、愚体に生存の無意味さの刃の切っ先を突き立て続け、絶てない弱さとその強欲に自分を虐げ続けて、暗い暗い奥底でいつも独り心の自己存在に殺戮の限りを尽くしてきた私なら、この劣交配を続けてきた寄生悪性腫瘍細胞な人間どもより間違いなく神に近い存在だと自負している。 人として生きる意味を……最初から全ての人間達から否定された私なら……愛されたことなど無い私なら………自分を粗末にできる私だからこそ…………神に。 「なら……なってみるかい……?」
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