三刻「灰雛は血染めの羽衣を纏う」

24/28
前へ
/382ページ
次へ
「え……? あれ、おかしい……おかしいな……俺、泣いてるのか………」 「はんっ、どーでもいいや……。そーだよ、お前の絵が1番だったとよ!! ああ(哂)だから、残念がってたねぇ……お前の絵が、手直し期間で変わってきててよ!!! 審査の様子見てたら、親父ったら、お前の絵の前にずーっとつったって、ため息ばかりしてたんだぜ????? あの様子ったら無かったよ……嗚呼面白かったね、愉快だった!! 他の審査員も不思議そうな顔してさ! 結果はもちろん私だよ、あれだけ優秀な作品だからお前の優勝が決まっていたが、それが悪くなっちゃぁ、あとはどんぐりの背比べだ! 如月の娘である私を優勝させるしかないでしょう???? お・わ・か・り??? あはっ♪ あははははははは♪」 そうか……そんなに俺の作品は……審査員の心に伝わっていたんだな……。 幸せだ……。 ほんとうによかった……。 「だーかーらー、どうあっても、現実はもう変わらないんですよ、せんぱぁい……♪ あなたは格下♪ 私が優勝なの、私が私になれたの。私が私の絵を描けるの、私の絵だという証拠なの……♪ もう誰にもなにも言わせない、私が私で私が私の絵を描いていくの♪」
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加