三刻「灰雛は血染めの羽衣を纏う」

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「これで私……如月冷花は……クリエーターのトップになれる。もうお父さんの時代もお・し・ま・い♪ ね、お父さん、私が1番でしょう? 一番でしょう……? イチバンだよね!? こんなかわいくて美人なクリエーターは居ないもんね♪ うふふ♪ 今日のデッサンはこれくらいにして、せんぱぁい……お疲れ様でした♪」 ――パァンッ―― 辺りにこだまする一音一閃……。 「……あれ?」 笑顔のまま、おかしな感覚に囚われる……。 身体破裂して、切り裂かれたように痛む……。 突如迫り来る黒い恐怖と不安。ただそれは胸の奥底で、いまは目の前の疑問に意識を奪われる。 あれ……おっかしいなぁ……なんで私……こんなに空を見上げてるんだっけ……。 紅いなぁ……紅い夕焼け……。 紅い水玉が舞っている……。 ……嘘。 嘘でしょ……!? 身体が上を向いている。身体の正面から全てが上を向いている……。 「嫌っ……! 嫌よっ……!!」
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