三刻「灰雛は血染めの羽衣を纏う」

28/28
前へ
/382ページ
次へ
「うがっぁァっ……!?!??!?!?!」 頭が割れそう……いや、間違いなくかち割れるっ……! 頭痛と共に入ってくる様々な人が一生生きた感情、映像……過去・未来までものすべてに生きたはずであろう記録すべてが、一寸も欠けることなく脳にネットリと焼き付けられる。いまとなっては迎えるはずのない未来……。 私がこの世の滅ぶ日まで生きたとしても慣れないことが確実な感覚……。命を背負うということ……。 「……っはぁ……はぁ……」 思わず天を仰ぎ、倒れこむ。 細胞のひとつひとつが疲弊しきった感覚が脳に重石のようにのしかかってくる。 全身に力が入る箇所すら見付からない……。 「…………綺麗ね」 私達とは違って。綺麗なのだ。自然は。 その心はいつも。 このまま、夜中まで寝よう……どうせ誰も来ない……夜中に去ろう。手が重なった2匹の身勝手な蛆虫の夢の後を見てからでも、遅くはないはずだから。
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加