四刻「灰雛と日常と現実と非日常と非現実と」

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それを見届けて、涼しい顔をして、私は外に出ていく。 文字通り、外に出ても暑くはない。 「ありがとうございましたー♪」 は、残念ながら聞けなかった。 いまの私にほとんど気配というものがないのだから。 必要なときだけ気配を自ら出すことで認識させることができるが、今は必要ない。シェイクを購入時のみ気配を出して、その後怪しまれぬよう奥の席についたときから徐々に気配を出すことをやめていた。 とはいえ、すぐに完全を気配を消すことはしなかった、だからなにも不思議はない。 私は冷静………なはずだ。だけど、それに反するように外に出た私は早歩きになり、それがだんだんと小走りになり、遂には走り出していた。 そうして、最終的にはまだ不安定な慣れ始めた力を使ってまでのひと蹴りで高いビルの屋上に降り立った。 (何を焦っているんだろう……) 後ろを振り向くと、店舗の前、遥か遠くにドールの少女にごねられている青年の姿が見えていた。 (あれの何に焦るっていうの……) 自分に問えど、納得のいく答えは得られない。 ただただその焦燥感は消えることなく胸の奥底に留まり続ける。結果、私はもうひと蹴り、さらにもうひと蹴りして、遠い別のビルの屋上に降り立つに至っていた。 そう、おかしかった。気付けぬはずなのに気付かれた。それだけに止まらない……今度は。
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