四刻「灰雛と日常と現実と非日常と非現実と」

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「わかりました、話は聞いてあげましょう。それで、ご用件は……?」 「僕の自己紹介はいいんですね……」 「えぇ。したいのなら止めませんが?」 「ああ、いえ、もう、うん、なんかいいです。えっと、用件……ですね」 男は静かに俯いた。そして、問いかける。 「なぜ……。なぜ殺す必要があったのですか?」 「だれを……?」 「最近で言えば……学生2人を追いやって殺した件について」 「あぁ……。なに? 命は平等だ。とでも言いに来たの?」 「否定はしません、そのようなものです……」 「あはは……なにかの冗談ですか? そのためにわざわざ私を探してたとか?」 コクリと2人は頷く。私が振り向いてからその手はずっと握られたままだ。 そんな2人を私は遠い目で見つめながら答える。
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