四刻「灰雛と日常と現実と非日常と非現実と」

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「つまり、殺したことに正当性あると?」 コクリと私は一つ頷いて見せた。 「なるほど。そういうことならば、あなたの言うことを否定するつもりはありません……」 「あら? 案外あっさりと引き下がるんですね?」 「だったら、なぜ……生きて苦しみを味あわせなかったんです? なぜ幸せそうな2人の遺体をあのまま放置したんです? あれではまるで……」 この問いは不意打ちだった……。 そう、それではまるでそれでも彼らは人間だと私が認めているようなものだった。先を生きても生き地獄。ならばいっそのこと……なんて、虫ではなく人だと認めているようなこと……。 結局……彼らに恐怖や不安感はその最期に無かった……。あったのは、幾分か人間らしい満足感。それはまるで……。 「……」 「……少し話を変えましょう。というより、宣告ですかね……。吐き気がするほどの頭痛は、あなたを……蝕みいずれ死に追いやります」 「死……? なにを馬鹿な……脅そうとでも?」 私は少なくとも人ではすでにない。だから、そう死ぬはずがないと考えていた。けれど……。 「なるほど。私は死なない、なんて優越にでも浸っていたんですか?」
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